議会の姿は多様だが、アメリカの政治学者のネルソン・ポルスビーは、イギリスの議会をアリーナ型(与野党の弁論の戦いが中心)、アメリカの議会を変換型(実務的な立法作業が中心。社会の利益の反映とその調整中心の議会とも言える)として世界の議会の両典型とした。しかし議院内閣制の国(イギリス)の議会と大統領制の国(アメリカ)の議会を同列に論じるのは無理がある。議院内閣制の議会では、選挙で勝利した議会多数派が、野党に批判の機会を与えつつ選挙での公約を実現する「責任のはっきりした政治」の多数派支配型の議会(イギリス)と、与野党が妥協につとめるコンセンサス型の議会(ドイツ、スウェーデンなど)の類型が有用。ただし、理論的な類型論とは別に、現実の各国の議会は単純にどちらの類型とも言い難い混合的な姿になりつつある傾向にある。日本は最終的に多数派の意思によって議案が成立するという意味では多数派支配型だが、国会が首相はじめ大臣を審議のため拘束する頻度が多いなど運営面では野党の力が強く、また政党本部の主導による国対政治など、国会の正規の組織や審議手続き外の仕組みが発達している点などで独特である。またその時々の与野党の議席差などの状況によって国会運営の姿は変わるものの、衆参で多数派が異なるねじれ国会となったときは、法案の成立等にあたって野党との妥協が必要になるなど、単純に多数派支配型の運営が貫徹される仕組みにはなっていない。