2007年の参議院(参院)選挙で自由民主党(自民党)が惨敗し、非改選議席と合わせて野党が参院の過半数を制し、議院運営の要のポストである議長および議院運営委員長も、新たに第一党となった民主党が獲得した結果、衆議院(衆院)は与党の自民党と公明党、参院は野党の民主党、社会民主党(社民党)などが支配権を握るねじれ国会が出現した。自民党結成以前にも、参院で与党が少数派だったことはあるが、1955年の自民党結党後に自民党が参院の第一党の地位を失ったのは初めてである。新たに第一党となった民主党は、参院を政権攻撃の拠点として使い、自衛隊によるインド洋の給油活動の一時中断やガソリン税の暫定税率の一時失効、さらには2度にわたる首相問責決議の可決などを実現した。ねじれ国会については、立法の行き詰まりをもたらしたとする見方と、政治に緊張感がもたらされ、これまで白日にさらされてこなかった政治や行政の問題点が明らかにされたなど、プラスに評価する見方があった。09年の総選挙で、それまでの野党が衆院の多数派となり、民主党、社民党、国民新党の連立政権が成立して、ねじれ国会は解消された。しかし10年の参院選挙での民主党の大敗で、再びねじれ国会となり、かつ社民党の連立離脱により、民主党・国民新党だけの連立政権では衆院の再可決(→「衆院の優越」)で法案を成立させることも不可能で、ねじれの状態は深刻化し、野党の合意を得るための与野党協議に多大のエネルギーを割かれる状況になった。このため、11年秋の第179回臨時国会の内閣提出法案の成立率は34%という低率にとどまった。また、問責決議を可決された大臣の交代のために政権はしばしば内閣改造を余儀なくされ、民主党の分裂もあって野田佳彦首相の問責決議も可決された。現在は12年12月の総選挙と13年7月の参院選挙でともに自民党と公明党が勝利したためねじれは解消しているが、いつまた生じるとも限らない。与野党が対決的な状況下でのねじれは、政治に多大の負荷をかけ、「決められない政治」をもたらす。日本の議会政治の安定のためには、ねじれ国会の運営のあり方についての与野党を含む国民的合意が欠かせない。