各議院の議長1人、副議長1人は議院によって選挙される。参議院(参院)では議長は第一会派から、副議長は第二会派からが定着しているが、衆議院(衆院)では1993年に議長をめぐり、2000年には副議長をめぐり調整がつかず、ともに投票決着になった。前者のケースでは、連立与党の推す土井たか子が初の女性議長に就任した(参院の初の女性議長は04年の参院選後に就任した扇千景)。中立性保持のため、近年では議長の党籍離脱が慣例化している。議長の職務権限としては、議院の秩序保持権(議長警察権)、議事整理権、事務監督権、議院代表権があるが、これらは議長の諮問機関としての議院運営委員会での会派の話し合いに基づき行使され、議長の自主性は極めて制約されているのが実情。しかし与野党の対立で行き詰まった場合に、議長あっせんによって事態が打開されることもある。ねじれ国会の第169回国会の08年1月には、道路特定財源の暫定税率をめぐる与野党の対立を衆院河野洋平、参院江田五月の両議長のあっせんで解決した。副議長は、議長に事故があるときまたは議長が欠けたときに議長の職務を代行する。議長が健在である限り固有の役割をもたず、本会議場には副議長席もない。