国の行政権の行使について責任を有する内閣およびその統轄の下にある各府省によって行われている活動。特殊法人が行う場合、調査研究業務や施設の経営委託など民間団体が委託を受けて実施する場合、さらに民生児童委員・保護司・行政相談委員など個々の民間人が末端行政として委嘱を受けて行う場合もあり、これらも広く国の行政に含まれる。行政活動を担う人材の選出に関しては、わが国では各府省における事務次官以下すべての一般職員が政権交代に伴って退就職するいわゆる政治任命ではなく、能力の実証に基づく任用(資格任用制)によって選ばれることになっている。この点では、内閣に直接置かれている内閣官房、内閣府、内閣法制局、人事院で働く一般職員も、また憲法上の機関である会計検査院や各級裁判所に勤める一般職員も同じように選ばれるから、行政の担い手である。行政担当者は選挙を通じて民意の審判を受けないという意味でも、政治的任免からまぬかれているという意味でも、代表性を主張する資格を欠いている。しかし、行政の担当者は、現実に果たしている機能の面では、単に既定の公共政策を実施する活動を行っているだけではない。政策が提起・発議されてからその原案が作成され、審議決定され、実施・執行に移され、評価され、評価情報が活用される一連の過程のどの段階にも関与し、重要な機能を果たしている。それゆえに行政は各種利益関係者や団体からの圧力も受けることになる。