キャリア組とは、国家公務員試験の国家公務員採用1種(旧上級甲)に合格し中央本省庁に採用され、2・3種等の採用職員(ノンキャリア組)に比べて早い速度でより高い地位に昇進することを約束されている一般行政職の俗称。有資格者とも呼ばれる。同期のキャリア組のうち1人が事務次官に昇進するまでに、他のキャリアは勇退するのが習わしとなっているが、それまでは互いに競い合いつつも連帯意識は強い。府省間で進度に差はあるが、1種採用者は本省庁の課長級以上のポストにつくのが普通。国家公務員法にまったく根拠のないキャリア組の特別扱いは、人事運用面で実質上の身分制の維持との批判もあり、公務員制度改革の対象となっている。
2008年6月に成立した国家公務員制度改革基本法は、いわゆるキャリア・システムの廃止を念頭に、現行の採用試験の見直しを求めている。人事院に設置された「採用試験の在り方を考える専門家会合」(座長:高橋滋一橋大学教授)は、09年3月に同専門家会合より、現行の1種、2種、3種試験を廃止し、新たに総合職試験、一般職試験に再編するとともに、総合職試験に院卒者試験を創設することなどを内容とする報告書を提出している。人事院は、09年8月の人事院勧告時の報告において、検討の視点および新たな採用試験の基本的な枠組み(総合職試験、一般職試験、専門職試験、中途採用試験ごとに試験の種類、試験区分、試験種目などについてのイメージ)を示し、さらに検討を進めている。