一般に、退職した公務員が、仕事上のつながりの深い民間の企業や法人などの団体の要職に再就職すること。国の場合は、各府省ではキャリア組の同期から次官を1人出すと、ほかの同期生は勇退する慣習となっている。これらの高級官僚が若年(50歳代前半)で退官することは、第二の人生を送るための再就職問題を引き起こすが、その主なものが天下り人事である。国家公務員は、離職後2年間は、離職前5年間に在職していた国の機関と密接な関連のある営利企業に人事院の承認なしには就職できないことになっていた。人事院の「営利企業への就職の承認に関する年次報告」によれば、2008年度の天下り人数は468人であった。しかし、08年から国家公務員の再就職は内閣による事前承認に変更され、1963年から始まった人事院が天下り人数を掲載していた「天下り白書」は最後となった。政府が2009年8月4日に公表した国家公務員の天下り状況は、08年8月16日から09年3月31日までに退職した中央省庁の課長・企画官以上では150人(財団法人が30人、営利法人が24人など)で、国家公務員として扱う都道府県警察の警視以上の幹部(特定地方警務官)では112人(財団法人29人、営利法人28人など)であった。これらとは性質を異にするが、中央省庁のキャリア組が、地方自治体の課長級以上のポストに身分切り替えで派遣されるのも天下りと呼ばれ、これはキャリア組の訓練・昇進システムの一環となっている。