民主党政権は「政治主導」を掲げて官僚と距離を置き、「行政のムダを削減する」という名目で公務員定数の削減にも取り組んだ。自民党新政権の安倍晋三首相は、2012年12月28日、首相官邸で開かれた第1回の「次官連絡会議」で各府省の次官に対し、「行政のプロとしての誇りを胸に、政策立案にあたっては積極的に提案し、果敢に行動していただきたい」と呼びかけた。次官会議は、民主党の鳩山由紀夫政権がいったん廃止したが、省庁間の連携が取れないなどの混乱が続き、菅直人政権と野田佳彦政権は次官が出席する「各府省連絡会議」を設置した。かつての自民党政権下の次官会議は閣議に上げる案件を原則として全会一致で決めていたが、安倍政権の次官連絡会議は、内閣の意向を各府省に周知、徹底させる場とする考え。また、新藤義孝総務相は12月28日の閣議後の記者会見で、「我々の政権の運営方針において必要が生じた定員数は、予算に反映されるように見直しもお願いする。これまで決められたものをその通り順守していくことにはならない」とした。12年12月7日、民主党の樽床伸二総務相(当時)は閣僚懇談会で13年度の国家公務員の定員について、東日本大震災への対応など時限的なものを除き3000人程度の純減になるとの見通しを報告していた。新藤総務相は同日の閣議後の記者会見で、「12年度は1300人の純減だったので、時限的なものを含めても前年度の約2倍の削減になる」と強調したが、この民主党政権の方針を見直し、削減幅を縮小する考えを示唆した。「特に安全保障分野の強化は必要という観点で、見直すべきは見直していかないといけない」と語り、海上保安庁や自衛隊の定員増を検討する意向。