人事院は、2011年度給与について、月例給は引き下げ改定、ボーナスは改定見送り、平均年間給与はマイナス15万円(-0.23%)を勧告した。政府は、11年10月28日の閣議で、平均0.23%引き下げを求めた11年度人事院勧告の実施見送りを正式決定した。実施に必要な給与法改正案を提出せず、13年度末まで給与を平均7.8%引き下げる臨時特例法案の成立を優先させた。人事院勧告の全面見送りは1982年度以来で異例の措置。人事院勧告は国家公務員の労働基本権を制約する代償措置で、従来は、ほぼ毎年、勧告通りの給与改定を実施してきた。しかし、東日本大震災の復興財源確保のため、特例法案成立を優先させ、年2900億円が捻出できるとした。特例法案は、労働協約締結権を付与する公務員制度改革関連法案を同時期に成立させることを条件に政府が連合系組合と合意したものであった。11年末のボーナスは、前年よりも4.1%高い61万7100円となった。両法案が国会に提出されたが、自民党をはじめ野党側は労働協約締結権付与に反発、継続審議となった。12年3月、ようやく給与削減の特例法が成立し、自民党などの要求の通り、まず人事院勧告分として0.23%下げ、その分も含め12年春から2年間、平均7.8%減らすことになった。政府・民主党が目指した労働基本権の一部回復は先送りとなった。2年間に約5800億円を浮かせ、東日本大震災の復興財源に充てる。