防衛庁(当時)は2002年1月18日、防衛庁幹部による「防衛力の在り方検討会議」で、防衛計画の大綱(1995年)の見直しに着手した。2004年4月27日には、小泉純一郎首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長=荒木宏・東京電力顧問)が初会合を開き、12月10日に新大綱を安全保障会議と閣議で決定した。01年の同時多発テロや自衛隊のイラク派遣などを受けて、新大綱では、国際テロへの対処、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの構築、戦車など旧来型装備の大幅削減、国際貢献活動の自衛隊本来業務への格上げ、情報収集・分析能力の向上などが盛り込まれた。また、旧大綱(1976年)から受け継がれた「基盤的防衛力」(脅威対抗型ではなく、必要最小限の防衛力を維持し、必要な際にこれを拡充するという概念)が「多機能で弾力的な実効力のある防衛力」(「抑止効果」よりも「対処能力」を重視した概念)に改められた。新大綱は自衛隊の統合運用を基本として、その別表では自衛隊の定員や主要装備が削減されている。2010年12月17日に、新たな大綱が閣議了承された。この新大綱では、これまでの「基盤的防衛力構想」が放棄され、中国を念頭に南西諸島防衛を重視する上、国際テロリズムなどにも対応できる「動的防衛力」が提唱されている。ただし、武器輸出三原則の見直しは見送られたが、11年12月に、藤村修官房長官は事実上の規制緩和を談話として発表した。13年12月17日、第2次安倍晋三内閣の下で、14年度からおおむね10年を念頭に、陸海空3自衛隊の統合運用強化による「統合機動防衛力」を重視して改定された。(→「中期防(中期防衛力整備計画)」)