21世紀に入るころからの安全保障環境の変化や少子化問題など、防衛大学校教育を取りまく状況の変化を踏まえて、2010年9月、北澤俊美防衛大臣(当時)が発出した指示に始まる。これを受けて防衛省内に副大臣を委員長とする防衛大学校改革に関する検討委員会が設置され、大臣指示に示された5項目((1)防衛省・自衛隊における防衛大学校の使命と役割の再確認、(2)建学の精神に照らした自己評価、(3)幹部自衛官にふさわしい素地を持つ質の高い受験生を確保していくための施策、(4)21世紀に自衛隊が担う役割に対応する優れた知力及び体力と豊かな人間性を備えた幹部自衛官を育成するための教育訓練と研究の在り方、(5)上記の課題を適切に果たし続けるための態勢の在り方)について検討した。翌11年6月にまとめられた報告書は、以上の5項目について具体的な改革案を提示している。AO方式の導入など多様で優秀な人材確保を目的とした入試改革、幹部自衛官に必要な知的基盤を確立するとともにグローバル化に対応するための教育改革、省内外の教育研究機関や地域社会との連携などが挙げられた。また、防衛大学校の学生構成の見直しや償還制度の導入など社会の要請に沿った改革案も提言されている。