2009年9月に発足した鳩山由紀夫内閣において、国家戦略担当の副総理であった菅直人は、同年末にまとめた「新成長戦略」の基本方針で、医療・介護などの分野を成長産業と位置づけ、20年度までに日本経済全体の平均で名目3%、実質2%の経済成長を目指す目標を掲げた。10年6月に首相に就任した菅首相は、同月18日、20年度までに実現を目指す経済政策を盛り込んだ「新成長戦略」を閣議決定した。新成長戦略は「強い経済、強い財政、強い社会保障の実現(第三の道による立て直し)」を目指すとされ、具体的には「環境・エネルギー」「健康」「アジア」など、成長を後押しする7分野で、約330項目にわたる政策を明記し、法人税率の引き下げや、物価が下がり続ける「デフレ」からの早期脱却を目指し、11年度中に消費者物価の上昇率をプラスに転換する目標を掲げた。この新成長戦略は、菅首相が国家戦略担当相時代から中心になってまとめた、民主党政権が20年度までに取り組む経済政策集で、このうち、新たな需要や雇用機会を生み出す効果が大きい21の政策を「国家戦略プロジェクト」と位置づけ、最優先で取り組むとしていた。