沿岸のベルト状の海に対しては沿岸国の主権が及ぶとして、18世紀以降領海制度が確立した。領海は沿岸国の領域の一部として支配下に置かれると同時に、他国の船舶には無害通航の権利が認められる。領海の幅は伝統的に3カイリ以内とされることが多かったが、その限界についての意見は分かれ、第1次海洋法会議では合意が達成されなかった。その後領海の大幅拡張を主張する国も出現したが、国連海洋法条約では排他的経済水域(EEZ)の導入と併せて、領海は最大12カイリまでと定められた。領海の測定の始点となる基線は一般的には低潮線であるが、三陸海岸のように入り組んでいる場合には直線基線を引くことも可能とされる。日本は水産業の振興のために狭い領海と広い公海が望ましいとの立場をとっていたが、世界的な趨勢(すうせい)から1977年に12カイリを採用する領海法を制定した。ただし宗谷海峡・津軽海峡など五つの特定海域では、外国船舶の自由通航を認めるため、3カイリの幅で領海が設定されている。また領海の外側にも通関・財政・検疫など、一定の行政的な権限を行使できる接続水域を、基線から24カイリ以内の幅で設けることが認められている。