国家がある地域について、領土、領海、領空に対して有する排他的権利、すなわち領域主権を有効に行使する際の根拠となる事実をいい、次の5つが挙げられる。(1)どの国家にも属さない無主地を、国家が領有の意思をもって実効的に占有する「先占」、(2)土砂の堆積や埋め立てなどによって新たに陸地が形成される「添付」、(3)国家が領域の一部を条約により他国に移転する「割譲」、(4)国家が他国の領域を長期にわたり平穏かつ公然と支配した結果、領土として取得する「時効」、(5)国家が武力を用いて他国領土の全部を自国領土に編入する「征服」。武力行使禁止原則が確立された現代国際法において、征服は正当な領域権原とは認められていない。また、時効は、国際法に時効期間の定めがないことなどから、その正当性について疑問を唱える見解が少なくない。先占は領域権原の代表的なもので、日本は竹島(独島)や尖閣諸島(釣魚島)の領有をめぐりこれを拠り所とし、自国の領域主権の正当性を主張しているが、韓国と中国は強く反対している。