1980年代末に冷戦が終わり、安全保障理事会(安保理)は、それまでの米ソ対立と拒否権の乱用によるまひ状態から脱して、地域・民族紛争に積極的に関与するようになった。その結果、安保理決議に基づいて、それまでの40年をはるかに上回る数と規模の国連平和維持活動(PKO)が展開されたが、その内容は対象とする事態に合わせてより多様なものとなっている。代表的なものとして多機能型PKOがある。これは紛争の包括的政治合意が達成された後に、その合意の履行を実現するためにPKOを展開する方式で、治安維持、選挙監視など、広範で多様な任務をもつ。カンボジアに派遣された国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)、東ティモールに派遣された国連東ティモール暫定統治機構(UNTAET)などがその典型である。また、ソマリアに派遣された平和強制型PKOや、マケドニアに派遣された予防型PKOも新型のPKOである。2013年1月末現在、14(国連政治ミッションを除く)のPKOが世界各地に展開されている。国連事務局に設置されている国連平和維持活動局(DPKO)が、PKOを主に担当している。