国際連合(国連 UN)が中心になって採択した国際人権諸条約の主なものは、条約の履行を確保するための専門家委員会を設け、当事国による規定の実施状況の監視を行っている。具体的には、自由権規約委員会(市民的及び政治的権利に関する国際規約)、社会権規約委員会(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)、人種差別撤廃委員会(人種差別撤廃条約)、女子差別撤廃委員会(女子差別撤廃条約)、拷問禁止委員会(拷問等禁止条約)、児童の権利委員会(児童の権利条約)などがある。これらの委員会は、経済社会理事会(経社理 ECOSOC)の補助機関である社会権規約委員会を除き、厳密には国連とは別組織である。しかし、これらの委員会の活動は、国連総会または経済社会理事会に毎年報告され、報告書の内容や条約の批准状況は、国連の関心事として討議されている。条約の履行確保のため、各委員会は以下のような活動を行っている。(1)国家報告の審査 条約の締約国政府が定期的に提出する条約の履行状況に関する報告書を、審議・勧告する。(2)国家通報制度 この制度を受諾した締結国の条約義務違反について、他の締結国からの通報に基づいて審査する。(3)個人通報制度 個人からの人権侵害の通報を委員会において受理することを受諾した締約国について、個々の通報を審査・勧告する。現在、個人通報制度をもつのは、自由権規約、社会権規約、人種差別撤廃条約、拷問等禁止条約、女子差別撤廃条約など。2014年2月現在、日本は個人通報制度を受諾していないが、受諾に向けて政府部内で検討が行われている。