国際連合(国連 UN)の主要機関である安全保障理事会(安保理)の構成を、現在の5常任理事国、10非常任理事国の計15理事国から拡大しようとする議論。国連設立当初の1945年、安保理はアメリカ、イギリス、フランス、中国、ソ連(現ロシア)の5常任理事国に、6非常任理事国を加えた計11理事国で構成されていた。その後、非植民地化の急速な進展により、国連加盟国数は当初の51カ国から増加し、112カ国になった63年、総会決議に基づいて国際連合憲章(国連憲章)を改正し、5常任理事国は変更せず、非常任理事国数を10に拡大することを採決した。国連加盟国数はその後も増え続け、2014年3月現在193カ国と、設立当初の約3.8倍になった。しかし、安保理の理事国数は15に据え置かれたままであるために、多数を占める途上国を中心に理事国数拡大の声が上がりはじめている。同時に、国連の平和活動や経済社会分野の活動の拡大に伴って国連分担金が大幅に増えている日本やドイツなどからは、常に理事国として席を確保できる常任理事国の地位を求める意見が出されている。他方で、安保理の理事国数の拡大は効率の低下を招く、あるいは現常任理事国の相対的影響力が弱まるなどの理由から、消極論も根強い。また、常任理事国の拡大については、その数をどこまで増やすか、どの国を常任理事国として加えるか、その場合拒否権をどうするか、などの具体案に関しても意見はまだ集約されていない。安保理改革の実現には国連憲章の改正が必要であり、そのためには総会の3分の2以上の賛成を得たうえで、全加盟国の3分の2以上の加盟国(ただし、その中には5常任理事国すべてが含まれなければならない)による批准が条件となるため、ハードルは高い。