アメリカが提示した北朝鮮の核問題解決の原則で、「完全かつ検証可能で不可逆的な(核)解体」の頭文字をとってこう呼ばれる。高濃縮ウラン(HEU→「北朝鮮核開発問題」)計画は、北朝鮮が過去、核問題に関して交わしたすべての取り決めに違反するとして、平和利用を含む一切の核計画を認めないとするアメリカの立場を示したものであり、2004年2月の第2回6者協議以降定着した。05年9月に採択された6者協議共同声明は、北朝鮮の「原子力の平和利用の権限を有する」という発言を他の参加者が「尊重する」と述べたことを明記し、「適当な時期」に北朝鮮への軽水炉提供問題について議論を行うことに合意をみた。しかし、ここで「軽水炉提供問題」と言及されたように、軽水炉提供は必ずしも前提ではなく、アメリカは北朝鮮が核不拡散条約(NPT)に復帰し、「非核化」が検証されるまで北朝鮮には軽水炉を提供しないとの立場をとるであろう。この声明で言及された「すべての核兵器と核計画」を放棄するとの文言は、北朝鮮がHEUを含む核計画を放棄することを意味するが、全貌(ぜんぼう)が把握されていないHEU計画の放棄を検証することには相当の困難が伴うと考えられる。