フィリピン南部ミンダナオ島のイスラム過激派組織。モロ・イスラム解放戦線(MILF)が和平路線に転じたことに反発したアブドゥラ・マウテ、オマール(オマル)・マウテのマウテ兄弟が2012年に設立した。過激派組織「イスラム国」(IS)への忠誠を表明し、同じミンダナオのイスラム過激派組織アブ・サヤフともつながりを持つ。16年9月のダバオ市のナイトマーケット爆弾テロや11月のアメリカ大使館爆破未遂などに関わったとされる。17年5月にはマラウィ市で市街地を占拠。住民を人質にして政府軍と死者1000人を超える激しい攻防戦を展開した(マラウィの戦い)。ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(→「ドゥテルテ政権」)は全島に戒厳令を出して空爆など大規模な掃討作戦を展開したが、鎮圧に手こずり、アメリカ軍の特殊部隊も支援に当たった。10月に掃討作戦を終結させたが、マウテ側戦闘員900人以上、政府軍や警官、市民を合わせて1000人を超える犠牲を出して、「治安の確立」を看板にするドゥテルテ政権には痛手となった。同島の戒厳令は年末に解除する予定だったが、18年末まで延長された。