2015年12月に誕生した、マウリシオ・マクリを首班とするアルゼンチンの現政権。任期は4年で、連続再選が1回だけ可能である。大統領選はクリスティーナ・フェルナンデス前大統領の指名を受けた「勝利のための戦線」のダニエル・シオリ、「共和国提案」のマクリ、「刷新戦線」のセルヒオ・マッサという3候補を中心に争われた。当初はシオリが優位に立っていたが、10月25日の第1回投票でのシオリの得票は37%に留まり、マクリが34%と善戦した。そして11月22日の決選投票ではマクリが51%の有効票を獲得し、逆転当選した。マクリの勝因として、前政権の国家介入型政策によるGDP成長率の鈍化とインフレの進行、前政権下での大豆などへの高率の輸出課徴金に対する反発、急進党などとの選挙連合「カンビエモス」の成功、第1回投票と同日のブエノスアイレス州知事選での「共和国提案」の勝利などが挙げられる。現政権は、就任早々外貨購入規制をほぼ廃止して二重相場を解消し、16年4月にはホールドアウト債権者に対する利払いを再開して国際金融市場への復帰を果たすなど、早急な改革を行っている。しかし、各種補助金の大幅削減を伴う財政健全化策には反発も強く、難しい政権運営を強いられている。