2016年7月のオジャンタ・ウマラ大統領の任期満了に先立って、同年4月10日にペルー共和国で実施された選挙。大統領選挙では、主要7候補による争いとなった。世論調査の推移では、アルベルト・フジモリ元大統領の娘ケイコ・フジモリと、かつて首相を務めたこともあるペドロ・クチンスキーの両右派候補が、選挙時期を通じて支持率の1位2位を争った。そして第1回投票では予想通りにケイコ候補が39.9%、クチンスキー候補が21.1%の票を得て決選投票となった。6月5日の決選投票に向けた選挙戦は、先の投票でクチンスキー候補に約20ポイントの大差をつけたケイコ候補が優位な形で進んだ。しかし結果はクチンスキー候補が50.1%、ケイコ候補が49.9%を得票し、4万2000票(0.24ポイント)差という接戦の末にクチンスキー候補が逆転勝利を収めた。世論調査でリードしながらも、ケイコ候補が敗れた理由としては、選挙直前に浮上した所属政党(Fuerza Popular 民衆勢力党)の幹部による麻薬組織がらみのスキャンダルや、その対応のまずさ、また依然として国内に残存する「反フジモリ感情」などが指摘されている。これらの理由を背景に、第1回投票で両候補以外に投票した有権者による浮動票の多くが、クチンスキー候補に集まったとみられている。クチンスキー新政権の行方はまだ定かではないが、大統領選挙と同時に実施された国会議員選挙によって、民衆勢力党が絶対多数を占めることになった国会との駆け引きが注目される。