ロシア南部クラスノダール地方から黒海海底を通りトルコ・イスタンブール近郊まで到達する天然ガス・パイプライン計画。2014年12月、プーチン大統領のトルコ訪問時、ロシアのガスプロム社とトルコのボタス国営石油パイプライン会社との間で了解覚書が取り交わされて以降、ロシア・トルコ間で建設に関する協議を重ねている。18年に建設を開始し、19年に運用開始予定。パイプラインは最深部で約2200メートル、海中部分の敷設距離は910キロに及ぶ 。トルコ領ヨーロッパ部を通過し、さらにギリシャへ抜ける構想である。本計画はウクライナ危機後のロシアと欧州諸国との関係悪化によって中断している「南方ストリーム」計画に代わるものとして急浮上してきた。しかし、ロシアとトルコの関係も、この数年間、シリア情勢をめぐって紆余曲折を繰り返している。15年11月、トルコによるロシア軍機撃墜事件を受けて、一時、このパイプライン計画に関する交渉も頓挫。16年10月、両国政府間で計画に関する合意が締結されたが、計画通りにパイプラインが建設されるかどうかは、二国間関係や地域情勢の安定にかかっている(→「北方ストリーム/南方ストリーム」「トルコによるロシア軍機撃墜」「ロシアによるシリア紛争介入」)。