2013年11月初旬にポーランドやバルト諸国の演習場で行われた北大西洋条約機構(NATO)即応部隊(NRF)の軍事演習。SteadfastのSは、欧州連合軍最高司令部(SHAPE)が参加することを、また、JazzのJは陸海空統合(joint)の演習であることを意味する。13年の一連の演習の最終段階として、加盟国やパートナー国の軍人6000人以上が参加し、今世紀に入って最大規模の演習となった。演習の目的はNRFの訓練・テストであるとされる。14年のアフガニスタンでの国際治安支援部隊(ISAF)の任務終了後、次の課題に備える意味でも、NRFの演習は不可欠と考えられている。NATO加盟国部隊間の共働の能力を維持強化するためである。しかし、実施時期は折しも旧ソ連欧州諸国をめぐる欧州連合(EU)とロシアの駆け引きが強まっている時期に、しかもそれを最も懸念する諸国で行われた。ロシアも部隊の即応性をテストするための一連の演習のうち、欧州からの攻撃を想定した演習「ザーパド」を9月下旬に行ったところであった。また、アメリカのミサイル防衛の欧州配備に対抗して、ロシアはイスカンデル短距離ミサイルをカリーニングラードに配備させる可能性をちらつかせてきた。演習はこうした動きに危機感を強める諸国をなだめる意味もあった。