ハーフィズ・アサド前大統領の次男によるシリアの現政権。ヒズボラ、ハマス支援を行うシリアの現政権バッシャール大統領は2000年、父親の死去後、政権に就く。同大統領は、民主化、自由主義体制への移行を求める声を抑えながらも、バース党支配体制を徐々に変えつつあり、インターネット、携帯電話の解禁、民間銀行の設立などの改革を行っている。05年6月に党指導部の世代交代、06年2月に実務型の内閣改造を実施している。一方、外交面では、05年2月のハリリ元レバノン首相の暗殺事件へのシリア関与疑惑への調査、同年4月のレバノンからのシリア軍撤退など国際社会の強い圧力を受けている。また、06年のハマス(6月)、ヒズボラ(7月)のイスラエル兵拉致事件では、両組織の支援者として、軍事協定を締結したイランとともに批判され、国際的孤立が深まっている。しかし、07年4月の人民議会選挙ではバース党が250議席中172議席を占め、同年5月に実施された国民信任投票では、バッシャール大統領が97.62%を獲得した(任期7年)。同政権の今後の課題として、07年5月に国連安保理決議1757で設置が決定されたハリリ暗殺事件の国際法廷への対応、また北朝鮮、イランとの核開発協力などに関する国際社会の懸念への対応がある。