南スーダン共和国の内戦における和平実現問題。南スーダンはスーダン共和国からの自治・独立を目指し、半世紀以上にわたる2度の内戦を経て、2011年に南スーダン共和国が誕生した。国連加盟国においても、アフリカ大陸でも最も若い国家である。キリスト教徒が多く、アメリカの強いイニシアチブで独立した経緯もあり、統一国民国家としての基盤は脆弱(ぜいじゃく)。そのため、ディンカ人主導のスーダン人民解放軍(SPLA)を母体とするサルバ・キール大統領政権は、13年に解任されたヌエル系のリエック・マシャール元副大統領派の軍と同年12月、内戦状態に再び突入し、民族間武力対立の様相を呈している。国境を接するウガンダ、ケニア、エチオピアなどの政治的安定にも深刻な影響を与えかねないため、これらの諸国を含めた東アフリカ8カ国からなる政府間開発機構(IGAD)は、双方の和平協議の仲介活動に乗り出したが実っていない。現政権の独裁と汚職は、非ディンカ系住民の不満を増長し、16年に入って南部諸州では反政府武力集団が拡散してきている。内戦の犠牲者は数万人におよび、250万~300万人の住民が難民化した。国連は1万2000人規模の平和維持活動(PKO)部隊を派遣しているが、政権が国連決議に納得していないため、散発的戦闘はやまず実効性に乏しい。この間、教育、医療、道路などのインフラの整備は遅れ、石油資源国でありながら最貧国にとどまっている。