2017年にアメリカで発足したドナルド・トランプ政権による、アフリカ諸国への対外政策。民主化や感染症対策への援助など、積極的なアフリカ支援を打ち出したバラク・オバマ前政権とは対照的に、トランプ政権は国益優先色を前面に出している。そのためアフリカは対外政策不在、ないし優先度が極めて低い地域として位置づけられる可能性が高い。人権や民主主義という価値観よりも、目前の自国の利益への貢献度が評価基準となれば、独裁政権を窓口とした石油などの資源国はビジネスチャンスが増えるだろう。アフリカ諸国の産業育成を目的に、2000年からアフリカ製品を無関税でアメリカに輸入できるようにしたアフリカ成長機会法(AGOA)などの経済優遇策は、見直される可能性がある。一方、17年1月および3月に発令された大統領令によるイスラム圏諸国からの入国制限策にリビア、スーダン、ソマリアが含まれているように、自国の安全保障のためにアフリカでのテロ対策には関心を注ぎ続けると思われる。こうした国益優先主義と反イスラムの姿勢は、アメリカに在住するアフリカ人にとっても、アフリカの人口の約4割を占めるイスラム教徒にとっても、大きな懸念材料となっている。