学校の説明責任が問われるなかで、教育改革国民会議の「外部評価を含む学校の評価制度を導入し、評価結果は親や地域と共有し、学校の改善につなげる」との提言を受け、2001年1月の21世紀教育新生プランでは「各学校における自己評価システムの確立」を図る方針が掲げられ、02年3月に制定された小・中学校設置基準により、学校の教育活動・学校運営状況の自己点検・自己評価とその結果の公表が努力義務化された。その結果08年度には、自己評価実施校は公立99.1%、国立96.9%、私立64.7%に達し、外部アンケート等の実施校もそれぞれ95.0%、84.7%、36.2%に達している。さらに07年の学校教育法改正で「学校評価」(第42条)と「情報の提供」(第43条)が新設・規定され、文部科学大臣の定めるところにより教育活動と学校運営についての評価とその結果の公表と同結果に基づく改善努力が義務化された。また、教育再生会議等の提言を受け、文部科学省は06年度から学校の第三者評価について実践研究を進めているが、教育関係者の間では批判的な意見が多く、評価の目的・方法や結果公表のあり方をめぐって意見が分かれている。評価の客観化や教育再生会議のように第三者評価の導入を主張する声がある一方、当事者評価(保護者や地域の人々を含めて学校を良くすることに責任をもつ当事者による評価、文部科学省は「学校関係者評価」と呼んでいる)が好ましいと主張する意見もある。学校選択制や全国学力テストが広まるなかで、学校評価が学校の序列化を促進するだけということにならないように適切なあり方を工夫することが重要である。他方、高等教育では00年度より大学評価・学位授与機構によりすべての国立大学法人が評価されることになり、02年の学校教育法改正(04年4月施行)により、すべての国公私立大学は自己評価とその結果の公表および政令で定める期間ごとの認証評価機関(大学基準協会、大学評価・学位授与機構、日本高等教育評価機構など)による評価(第三者評価の一種)が義務づけられた。前者は6年ごと、後者は7年ごととなっており、現在、2期目に入ったところだが、評価の目的と効用の関係や評価業務に費やされる時間と労力の増大にともなう大学教員の「時間の劣化」などの問題が指摘され、評価のあり方が問い直されている。また、08年の中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」が「学士力」と言う概念を用いて、学士課程教育共通の学習成果(ラーニング・アウトカム)の明確化とその向上・評価について提言したことから、特に学習成果の評価の是非やあり方をめぐって議論が起こっている。なお、学習成果の内容(に関わる大学教育のあり方)については、08年5月に文部科学省より日本学術会議に対して「大学教育の分野別質保証の在り方について」審議依頼があり、同会議は10年7月に「回答 大学教育の分野別質保証の在り方について」を文部科学省に手交し(公表し)、現在、専門分野別のカリキュラム編成上の「参照基準」の策定を進めている。