民主党政権下の2012年8月に社会保障・税一体改革関連法が成立し、これを受け、民主・自民・公明3党の合意により同年11月に設置された社会保障制度の改革について検討するための有識者会議。10%までの消費増税の社会保障への還元の方途を議論して当面の消費増税の意味づけを行うことと、1990年代後半以降の社会経済環境の変化に対応できる新しい社会保障の枠組みについて、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年を見据えて中長期的な改革の方向性を示すことを使命としている。自公政権への政権交代を経て、13年8月に報告書が提出された。社会保障が果たしてきた意義を強調するとともに、これまでの男性労働者の正規雇用・終身雇用と、専業主婦を前提とした「1970 年代モデル」の社会保障は機能しなくなっているとし、これを現役世代の「雇用」や「子育て支援」、さらには「低所得者・格差の問題」や「住まい」の問題に取り組む「21 世紀(2025 年)日本モデル」の社会保障に転換させる必要性を説く。そのためには、すべての世代がその能力に応じて支え合う全世代型の社会保障とすることが必要であるとし、給付の効率化と能力に応じた負担の強化を進めるとともに、給付部門として少子化対策を大きく取り上げ、年金・医療・介護を中心として高齢者に偏りがちであった社会保障の給付構造の転換を求めている。消費税10%までの当面の改革は具体的に示され、その内容を順を追って具体化する社会保障改革プログラム法も13年8月に制定されているが、年金の中長期的な改革については方向性や検討の必要性を示すにとどまっており、本格的な改革論議は、政府が新たに設ける有識者による「社会保障制度改革推進会議」に持ち越された。