男女年齢別人口をグラフ化したものをいう。縦軸に年齢を振り分け、横軸の左側に男子人口、右側に女子人口を表示する。かつては多くの国で、横棒グラフで表された数値がピラミッドの形をしていたので「人口ピラミッド」と慣習的に呼ばれているが、現在はそれとは違った、多様な形状が見られる。人口ピラミッドの作図は簡単である。縦軸の年齢は各歳別が基本だが、5歳階級別あるいは10歳階級別にすることもできる。横軸の人口は男女ともに実数で示す方法と、総人口に対するパーセントで示す方法がある。人口ピラミッドには、それぞれの時代の人口問題、経済社会の状況によって生じる様々な形が現れるが、それをいくつかのタイプに分けることができる。人口転換が始まる前、あるいは始まって間もない時期の多産多死の人口は、まさにピラミッド型あるいは富士山型を示す。次に人口転換が終了した、少産少死の人口はつりがね型、少子化が進み、高齢化が顕著になり、人口減少が始まった場合にはつぼ型が現れる。さらに超高齢化が起こり、少子化は回復せず、大量に人口が減少する場合には、逆ピラミッド型あるいは逆三角形型の年齢構造が出現する可能性がある。しかし実際は、戦争、経済不況、震災、国際人口移動などもあって簡単ではない。人口ピラミッドには、その人口が過去100年近く経験してきた人口減少の痕跡が残されている。2010年の国勢調査データを用いて作成した日本の人口ピラミッドを見ると、第二次世界大戦の影響、第1次ベビーブーム(団塊の世代)、その1世代後に起きた第2次ベビーブーム(団塊ジュニア)、1966年の丙午(ひのえうま)のくぼみ、そして近年の少子化による人口縮減などの状況が刻みこまれ、変形かぶと型とも呼ばれる複雑な形を示している。2011年3月11日に起きた東日本大震災の衝撃も、その姿を人口ピラミッドに表現するであろう。