精神疾患の診断用語であり、統合失調症のような重篤な精神病ではないが、不安や不適応といった様々な精神症状を引き起こす病態。単に、神経症と表現されることのほうが多い。「精神障害の診断と統計の手引き(DSM)」(→「DSM-5」)に代表される精神科診断基準が広まる以前は、幅広く使われた診断概念であったが、現在の公式な精神疾患で、神経症という診断名を使うことは少ない。ただし、病態の重症度や性格との関連を表現する際には、まだよく使われている。特に精神分析や森田療法の専門家にとっては、病態理解のための重要な概念である。神経症の概念の中には、強迫神経症(強迫性障害)や不安神経症(不安障害)が含まれていた。ドイツ語読みの「ノイローゼ」は、精神的な不調を表す表現として、現在でも日常語として使用されている。