ベータ線やガンマ線を出す放射性同位元素(RI)を、注射や内服薬で体内に投与し、腫瘍などの病巣を放射線治療しようというもの。放射性ヨウ素(I-131)を用いた甲状腺疾患の治療は、50年以上前から行われてきた。人為的に投与されたI-131は、特異的に甲状腺に取り込まれ、放出されるベータ線によって細胞を傷害する。これを察知することで、バセドー病(バセドー氏病)や甲状腺がんの肺、骨への転移の治療がなされている。投与されたRIが特異的に病変部に集まり、正常部分には取り込まれない性質を利用して行われる治療であるため、副作用が少なく、小さな病巣が全身に散らばっているような場合に有効である。I-131以外に、放射線ストロンチウム(Sr-89)注射薬を用いた、がんの骨転移痛治療や、放射性イットリウム(Y-90)注射薬を用いた悪性リンパ腫の治療が行われている。