子どもに多いがんは白血病、脳・神経系の腫瘍、筋肉、骨などに発生するので、発育途上でがん化が起きると思われる。先天性のものや、他の部位の奇形に合併することも多く、胎生時の遺伝子異常が関連するものも多い。子どもに最も多い悪性腫瘍は4割近くが白血病で、悪性リンパ腫を合わせると半分近くを占める。次いで多い神経芽腫は副腎だけでなく、後腹膜や縦隔の交感神経節からも発生する。脳腫瘍は神経芽腫に次ぐが、発生部位は小脳天幕下の脳幹、小脳が多く、また下垂体や松果体腫瘍も多い。網膜芽腫やウィルムス腫瘍(腎芽腫)は、発生途上の未分化な細胞ががん化したものと考えられるが、特有のがん抑制遺伝子の変化が発見されている。肝芽腫や生殖器の悪性奇形腫も小児特有のものがある。小児胚細胞性腫瘍として卵黄嚢がん、絨毛がん、悪性奇形腫が多く、胚細胞性腫瘍はシスプラチン(cis-platin)とエトポシド(etoposide)、ブレオマイシン等の化学療法によって治癒率が著しく高まった。