がんの転移予防のため、リンパ節とその周囲の脂肪組織を、手術で一括切除すること。がんの手術療法では、病巣をある程度周辺の組織をつけて切除し、そこからリンパ流で結ばれている領域リンパ節を、転移の可能性がある部位よりも広めに切除することで根治切除となる。こうしたリンパ節郭清は、17世紀に乳がん治療に対して始められた。以来、がんの所属リンパ節を系統的に郭清するため、腋窩リンパ節をすべて取り除くようになった。20世紀初頭には、頭頸部がんに対しても頸部リンパ節郭清が行われるようになり、次いで婦人科がん、20世紀中頃からは消化器外科領域、特に直腸がんに対して行われるようになり、胃がんにも導入された。胃がんに対するリンパ節郭清の重要性を、初めて説いたのは外科学者の泉伍朗で、1914年のことであった。現在の胃がんリンパ節郭清の原型は、外科医の梶谷鐶(たまき)が、42年に考案したものである。