線維状で、収縮能をもつ細胞の集団を筋組織という。身体を動かす骨格筋が代表的だが、それ以外に心臓の壁を作る心筋と、内臓と血管の壁を作る平滑筋も筋組織の一種である。顕微鏡で見ると、骨格筋と心筋は筋線維の中に規則的な縞模様が見える横紋筋(おうもんきん)であるが、平滑筋にはそのような縞模様はない。横紋筋では、細胞内の2種類のフィラメントが規則的に配列しているために縞模様が見え、そのために収縮力が強く、線維の伸び縮みの範囲が限られている。骨格筋の筋細胞は、筋の端から端まで延びる線維を作る長大な細胞で、十数個以上の核を有する多核の細胞であるが、心筋と平滑筋の筋細胞はずっと小さく、1個だけの核を有する単核の細胞である。骨格筋の線維は運動神経の終末がシナプスを作っていて、神経の刺激に対応して収縮を行う随意筋であるが、心筋と平滑筋は神経の刺激と関わりなく収縮する不随意筋である。平滑筋細胞は外力に応じて収縮したり、またホルモンなど液性因子の影響を受けて収縮したりする。心筋細胞は、単独で周期的に収縮する性質をもっている。