神経線維は一方向に興奮を伝えるため、末梢神経の神経線維には中枢から全身に指令を伝える運動神経と、全身からの情報を中枢に伝える感覚神経の2種類がある。脊髄神経の前根(ぜんこん)は運動性で運動神経線維のみを含み、後根(こうこん)は感覚性で感覚神経線維のみを含む。このことは、2人の発見者の名前をとってベル=マジャンディの法則と呼ばれる。運動ニューロンの細胞体は、脊髄内部の前角にあり、そこから出た軸索は前根を通って脊髄から出ていき、軸索の先端は枝分かれをしてその先端で骨格筋細胞に接触し、興奮を伝えるシナプスを作る。感覚ニューロンの細胞体は、後根の一部が膨らんだ脊髄神経節の中にあり、軸索は脊髄神経の先端から中枢に向かい、後根を通って脊髄に入る。運動神経線維と感覚神経線維の多くは、伝導速度の速い有髄線維である。とくに骨格筋を支配するα線維は、伝導速度が毎秒約70~120メートルと速く、触覚を伝えるβ線維はそれに次いで毎秒約30~70 メートルである。それに対して、痛覚や温度感覚を伝えるδ線維は、毎秒約12~30 メートルと遅い。