チロシン(アミノ酸)の代謝産物であるカテコールアミンの一種で、体内では交感神経系、および中枢神経系の神経伝達物質として使われている。交感神経系では、節後ニューロンから放出され、心拍出量と血圧を高めて、身体を活動状態にする。脳では、もっぱら脳幹の神経核である青斑核(せいはんかく)のニューロンで作られており、大脳皮質、大脳辺縁系、視床下部、小脳、脳幹、脊髄などに広く投射する。青斑核のノルアドレナリンニューロンは、大脳皮質の活動を活発にして注意、記憶、学習などの働きを高め、辺縁系などに作用して気分を高揚させる働きがあると考えられる。抗うつ薬には、ノルアドレナリン系を刺激する作用をもつものがある。高血圧などの治療に用いられるノルアドレナリンの阻害薬は、気分を抑うつさせる副作用がある。青斑核では、ノルアドレナリンが重合して神経メラニンという物質を生じており、青く見えるのはそのためである。