病気や事故で子宮を失った女性に、生体または死体から摘出した子宮を移植すること。2013年、22歳の女性が死亡した他人の子宮を移植し、体外受精で妊娠したとトルコで報じられた。14年にはスウェーデンで、生まれつき子宮がないか、がんで摘出した女性9人に、母親などから提供された子宮を移植したと報じられた。彼女らは卵巣を持っており、将来的には、体外受精による妊娠も試みられるという。従来、子宮を失った女性は、代理出産で子どもを得ることが考えられてきたが、このように子宮移植は新たな可能性を示した。しかし同時に、生死に関わる治療目的ではない、生殖目的による臓器移植の是非といった倫理問題も提起している。子宮移植を、生殖補助医療の補完的技術とみることができるか、という問題もある。日本でも動物での研究が進められているが、現行の臓器移植法では、提供可能な臓器に子宮は含まれていない。