肺炎球菌に対する、感染防御免疫を与えることができるワクチン。グラム陽性の菌である肺炎球菌は、その形態的特徴から、肺炎レンサ球菌とも呼ばれている。ヒトの鼻咽頭に高率で検出され、肺炎、髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎の原因となる。ペニシリンが有効であるが、近年、抗生物質が効かない薬剤耐性菌が増加し、日本では肺炎の死者数が10万人を超えている。この数は、脳血管障害や心疾患の死亡者数に迫る勢いである。肺炎の死者のほとんどは高齢者で、そのうちの約半数が肺炎球菌感染症によるものと推定され、肺炎球菌ワクチンの重要性がわかる。現在、日本で承認されている肺炎球菌ワクチンは、不活化ワクチンで、任意接種となっている。肺炎球菌の病原性を決定している、菌体表面の夾膜(きょうまく)の多糖体を抗原にしている。