製薬会社の富山化学工業が製造・販売する抗ウイルス剤。一般名はファビピラビル。化学名は6-fluoro-3-hydroxy-2-pyrazinecarboxamide。インフルエンザウイルスのRNA複製阻害剤として、2002年に見いだされた。細胞内でウイルスのRNAが複製される際に、RNAに取り込まれた遺伝子を過剰に変異させ、複製を阻害して増殖を抑える作用機序がある。その抗RNA複製阻害作用が、高病原性鳥インフルエンザウイルスをはじめ、C型肝炎ウイルス、そして14年に西アフリカで大流行したエボラウイルスなど、他のRNAウイルスにも有効であることがわかった。ただし、抗ウイルス作用には間違いはないが、動物実験で催奇形性などの副作用が認められたため、高病原性のインフルエンザのみに適応が限られている。動物実験では、エボラウイルスに対する効果が確認された。その後、エボラ出血熱患者への投与により患者は回復したが、他にも治療が行われていたために、単独投与が有効かは確認されていない。