各疾患ごとにおける診断や治療の標準的な指針。日本の医療現場ではかつては品質管理という概念は導入されておらず、それぞれの医療機関や医師により医療の質に大きなばらつきがあった。しかし最近、医療ミスがマスコミなどで大きく取り上げられるようになり、医療の品質管理の必要性が叫ばれるようになった。アメリカでは1989年ごろから、政府の機関である医療政策研究局(AHCPR、現・医療研究品質局[AHRQ])が、診療ガイドライン作りを始めた。日本の厚生省(現・厚生労働省)も99年度より高血圧症、糖尿病、心筋梗塞などの治療ガイドラインを作成し、治療ガイドラインの対象疾患の優先リストを掲げている。2003年10月には日本医療機能評価機構の医療技術評価総合研究医療情報サービス事業(通称MINDS)として、専門医向けだけでなく一般医向け、市民向けのガイドラインについて試験的なサービスを開始した。診療ガイドライン作成は、過去のデータを分析・研究することで、効果が科学的に裏付けられる診療を明示し、広めるのが目的であるものの、医療関係者の一部からは、医師の裁量の範囲を狭めることになるなどの反発もある。03年7月23日の厚生労働省による中央社会保険医療協議会で、EBM診療ガイドラインについて、直ちに保険診療に反映させる考えのないことを明らかにした発表が行われたが、これはこうしたガイドラインに対する反発の声に配慮したものと見られ、今後の動向が注目される。しかし、治療法に不安をもつ患者のためにも、一般向けの治療標準ガイドラインは必要であろう。