患者側からの申し出により、公的医療保険の適用外の診療(自由診療)と保険がきく診療(保険診療)を併用させるための制度。先進医薬品等による治療を迅速に受けられるようにすることを目的に、2015年5月に成立した医療制度改革関連法で導入が決定した。制度開始は16年4月。日本政府はこれまで自由診療と保険診療の併用(混合診療)を原則認めておらず、自由診療にあたる先進医療を行う際には、保険診療分も含めて患者に全額実費負担を求めてきた。しかし、多様化する患者ニーズに適切に応えられないとして、患者が先進医薬品等の使用を希望した場合に、医療機関が安全性・有効性などを確認したうえで保険診療との併用を認めることとし、その結論を出す仕組みとして当制度を新設した。このことは混合診療の実質的な解禁となり、先進医療への患者ニーズに柔軟な対応ができ、医療産業の成長を見込める期待がある一方で、先進医薬品等の保険収載が遅れる、医療の安全性や公平性、国民皆保険制度そのものが損なわれる、といった懸念の声が上がっている。