不妊に悩む男女が、妊娠・出産を目標に行う治療。日本では、男女のカップル10組におよそ1組が不妊である。不妊症とは、妊娠を希望している夫婦が、2年以上、避妊を行わずに一般的な夫婦生活を送っていても、子どもができない状態をいう。晩婚化が進んでいる昨今、妊娠を希望後1年たっても妊娠(→「妊娠の成立」)しない場合は、専門医療機関を受診して、必要な不妊治療を行いたい。不妊の原因は男性が4割、女性が4割、残りは男女の体液や粘液の相性が合わない、原因不明、などである。男性側の原因は、性交障害や精路障害、乏精子症、精子減少症、精子無力症などがある。正常な精子がある程度存在すれば、濃縮した精子を子宮内へ送り込む一般的な人工授精を行う。精子が極端に少ない場合、精子と卵子を体外へ取り出して受精させ、受精卵を子宮へ戻す体外受精を行う。女性側の原因は、膣、頸管、子宮、卵巣・卵管、排卵の異常などがある。排卵誘発剤を使用することは多いが、原因により治療は異なる。また、治療にはさまざまな方法や進め方があり、これは病院や医師によって異なっている。必ずしも治療が成功するとは限らないが、若年者での治療成績は向上している。しかし、女性が35歳以上になると難しいので、妊娠を希望する場合は、早めの治療が望まれる。なお、高額の治療費がかかる特定不妊治療には、医療保険が適用されない治療費の一部を助成する制度もある。