肩こりは、僧帽筋を中心とした肩甲帯筋群のうっ血や浮腫によって、こり、張り、こわばり、痛みなどを自覚した状態である。高血圧、頸椎疾患、胸郭出口症候群、更年期障害、眼精疲労などが、原因としてあげられる。肩こりを改善するためには、日常生活での養生が大切となる。睡眠や運動の不足、同じ姿勢を続けることも原因となる。漢方薬では、首から背中のこりに効果がある葛を含む、葛根湯(かっこんとう)や桂枝加葛根湯(けいしかかっこんとう)などが頻用される。筋肉質な人は、揉みほぐしたり回すなどの体操をして、血行促進すると改善しやすい。しかし筋肉が少ない人だと、軽い運動では治らない。漢方医学では、五臓のうち「脾」(脾臓のことではなく、消化器系に関わる機能)が、筋肉と胃腸の働きに関係する、と考えられている。そのため、筋肉がない人の場合は、血行をよくすることに加え、胃腸の働きの強化も同時に行う必要がある。ストレスや冷えによって血行が悪くなると、こりが生じる。これは五臓の肝(肝臓の機能に加えて、自律神経や情緒のコントロールを行う)の働きと関係があり、この場合は肝の働きを整える加味逍遙散(かみしょうようさん)、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などが頻用される。