日本では最多で55基の軽水炉が動いてきたが、1970年に稼働を始めた敦賀原発(沸騰水型炉 BWR)、美浜原発(加圧水型炉 PWR)からはすでに43年が経過しており、今後次々と寿命を迎える。しかし、原子力利用の本命と期待された高速増殖炉開発は実現がどんどん遠のいており、現在稼働中の軽水炉が運転を止めた後の代替炉としてはやはり軽水炉に頼るしかない。そのため、改良型原子炉、第三世代原子炉などとも呼ばれるいくつかの軽水炉が計画されているが、いずれも従来の軽水炉技術の延長にある。現在世界の原子力産業の再編が劇的に進んでおり、これまで沸騰水型炉陣営にいた東芝が加圧水型炉の雄であったアメリカのウエスチングハウス(WH)社を6400億円の巨費を投じて買収、中型の改良型加圧水型炉(APWR ; advanced pressurized water reactor)AP1000(100万kW)を目玉商品にした。アメリカ原子力規制委員会が、2011年12月22日、AP1000に認可を与えた。アメリカには南部ジョージア州のボーグル原発3、4号機など、AP1000を採用しようとする建設計画が複数あった。しかし、12年8月、原子力規制委員会が、使用済み核燃料に関するリスクの再評価を完了するまで、原発建設認可の最終決定を停止することを決定。アメリカでの原子力開発は大きな転機に立った。一方、これまでW社Hと提携してきた三菱重工は、ヨーロッパでの統合された原子力産業であるアレバ社と提携、アレバ社が開発したヨーロッパ加圧水型炉(EPR ; European Pressurized Water Reactor 160万kW)の売り込みを図る。残った日立はこれまでどおりアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社と沸騰水型炉路線をとり、改良型沸騰水型炉(ESBWR ; Economic Simplified Boiling Water Reactor 150万kW)の売り込みを目指している。