原子炉内で核分裂反応が促進した時にそれを抑制する機構が存在している場合、これを自己制御性と呼ぶ。軽水炉の場合では、核分裂反応が進み冷却水の温度が上がると、減速材の役割も担う冷却水の密度が減少し、減速能力が低下、核分裂反応は低下の方向に向かう(減速材温度効果 moderator temperature effect)。沸騰水型炉の場合には、炉内での沸騰も促進されて泡(ボイド)ができるため、密度の低下が著しくなる(ボイド効果 void effect)。また、燃料の温度が上昇するとウラン-238の原子核の熱運動が激しくなって中性子を吸収しやすくなるため、ウラン-235の核分裂に寄与する中性子の数が減って、核分裂反応は低下の方向に向かう(燃料ドップラー効果 fuel Doppler effect)。