高レベル放射性廃棄物を深さ数百~1000mの地底に埋めるという案で、2001年5月にフィンランド議会がユーラヨキに最終処分場を建設することを承認、12年12月に建設許可申請が行われ、20年頃の操業開始を目標としている。完成すれば世界初の処分場となる。スウェーデンでも立地選定作業が進められていたが、エストハンマルとオスカーシャムに絞られていた候補地のうち、エストハンマルが最終的に選ばれた。一方、アメリカではユッカマウンテン(Yucca Mountain)を高レベル放射性廃棄物の置き場にすることを一度は決定したが、長期にわたる環境評価に不備があると連邦最高裁が判決を出した。その後、オバマ政権になり、計画が撤回され、高レベル放射性廃棄物問題は振り出しに戻った。日本では、00年5月に特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律が成立して、再処理、ガラス固化を経て、深さ300~1000mの地下へガラス固化体を埋設する方法が決定した。処分主体の原子力発電環境整備機構が同年秋に設立され、40年には処分開始を計画している。埋設場所は公募方式で決められることになっていて、02年、全国の自治体に処分場誘致の意思の有無を尋ねる調査が始められた。調査に応じさえすれば、総額20億円の交付金が出ることになっているが、いまだに誘致した自治体はない。さらに、12年9月になって、原子力委員会から意見を求められていた日本学術会議が、現行計画の破棄を提言。数十年から数百年の間「暫定保管」する方式を提案、保管総量に上限を設ける必要も提言した。しかし、12年12月に政権に返り咲いた自民党は、経済産業省内に新たな検討委員会を作り、これまで以上に地層処分を推進する方針を示した。そして、これまで処分場を選定できなかったのは公募方式をとったからであり、今後は国の方から積極的に処分場を指定するとして、国による強権的な押し付けで乗り切る方針に転換した。しかし、10万年から100万年にわたる隔離を保証できる科学はなく、今後も難航が必至である。