使用済み燃料を再処理し、ウラン、プルトニウムを分離すると、高レベル廃液(high level liquid waste)と呼ばれる液体が残る。この液体を長期保管のためガラス原料と混合、固形化した塊をガラス固化体と呼ぶ。六ヶ所再処理工場では、アクティブ試験の最終段階で、実験的な東海再処理工場で使った技術を単にスケールアップしてガラス固化体の製造に臨んだが、固化体の製造に失敗。本格稼働の予定が2010年10月から12年10月に2年延期された。ガラスは化学的に安定といわれるが、仮にガラス固化体が望み通りに製造できたとしても、高レベル廃液のガラス固化体の場合、放射線による照射、崩壊熱による内部からの発熱、原子核崩壊による原子自身の変化のため組成が変化し、1000年以上の隔離は期待できない。地層処分に当たっては、固化体の周囲をベントナイトなどの粘土で埋めて「人工バリア」とし、それらの隔離が破れた後は、周囲の地層が「天然バリア」となって放射能の拡散を防いでくれると期待している。