従来、原子力発電所を設置するに当たっては、さまざまな指針を使って安全審査が行われてきた。しかし、福島第一原子力発電所が事故を起こし、安全審査とその指針が不適切であったことが事実により示されてしまった(→「福島第一原子力発電所事故」)。そこで、ヨーロッパでは、ヨーロッパ理事会が、傘下14カ国143基の原子力発電所に対して、従来想定してきた事故を超えるような事態に至ったときに、どこまで耐えられるかを評価するストレステスト、すなわち耐性試験を実施した。日本でも、それを受け、2011年7月7日に当時の菅直人首相が日本の原発に対してもストレステストを実施させると表明した。しかし、ストレステストとは、ただ単にコンピューターによるシミュレーションをするだけで、それによって実際の原発がわずかでも安全になるわけではない。また、事故とは本来想定されない事象が起きるからこそ事故になるのであるが、テストは想定する条件についてのみ行うだけで、本質的な意味を持たない(→「重大事故/仮想事故」)。