素原子が6角形に最密配列したグラファイトの1~数層からなる構造を特にグラフェンとよぶ。グラファイトの結晶から粘着テープを用いて剥がす、炭化ケイ素を熱処理して表面に成長させる、メタンなどの熱分解を利用し化学蒸着法(CVD法)で成長させる、などの手法が報告されている。2009年夏からチャネル材料として急に注目されるようになったが、その理由は移動度が大きいためMOSトランジスタのチャネルに用いることにより、シリコンに比較して非常に高い特性を実現できる可能性があることによる。これに関連し、10年のノーベル物理学賞は、イギリスのマンチェスター大学のアンドレ・ゲイム教授とコンスタンチン・ノボセロフ研究員に「二次元物質グラフェンに関する画期的実験」という理由で授与された。彼らは04年にグラファイトのシートを極限まで薄くし、その物性を明らかにしたとされ、この研究が現在のトレンドのもとになっていると認められたようである。