カーボンナノチューブを半導体として用いたMOS(metal-oxide-semiconductor)構造電界効果トランジスタを指す。カーボンナノチューブ(CNT)はその円筒形の巻き方によって金属的な伝導性と半導体的な性質を示すものがあり、それぞれが極細導線や極微細半導体として発見当時から注目されていた。近年、CNTの製法や分離および配列制御技術の発展にともない高性能なナノチューブトランジスタが実現されつつある。2002年、IBMは単一の単層CNTに電極を配して薄いゲート絶縁層を用いたナノチューブトランジスタを発表し、シリコントランジスタを上回る性能が得られることを示した。ナノチューブトランジスタは化学的処理によってp型半導体とn型半導体を作り分けられるため、CMOS(complementary metal-oxide-semiconductor)トランジスタとしても期待されている。しかし、集積化が難しいためか、同じような構造のグラフェンに研究の中心は動いている。