強磁性半導体は、半導体中に磁性を持つ不純物(鉄、コバルト、ニッケル、マンガン化合物など)を混入した物質で、半導体と磁性体の特性が互いに関連した特異な性質をもち、磁場を作用していないときでも磁気モーメントをもつ(自発磁化)。磁性を有する磁性半導体のうち、特に強磁性を示す強磁性半導体のなかには、温度によらず可逆的に強磁性-常磁性スイッチが可能な温度領域が存在する。強磁性体材料は磁気メモリーなどへの応用が考えられるが、強磁性半導体をチャネルにもつ電界効果型トランジスタ(FET)では、物質の強磁性-常磁性を電界で制御可能となる。今後、強磁性材料と半導体技術との融合により、新しいスピンエレクトロニクス(→「スピントロニクス」)分野への展開が期待できる。